Q&A 売上編

売上計上に関する疑問点についてつらつらと。

委託販売など、通常の現金売上などとはちょっと別のケースなどについて解説します。

売上をごまかしたらバレるか

税務調査があればほぼ確実にバレます。
同人はラーメン屋や喫茶店など現金商売の飲食店と違い販売単価と印刷部数=仕入数量がはっきりしています。ですので印刷費だけ計上して売上は計上しない、という脱税は困難です。
印刷代は現金払い・販売はイベントのみ、というのであれば売上・印刷費どちらも計上しないことで利益をごまかすことは出来ますが、ペーパーやHPの新刊・既刊案内に載せればそこから足がつきます。告知一切なしの突発本なら隠し通せるかもしれませんね。

しかし手元には証拠が残ってなくても調査官は印刷会社に取引内容の照合に行くこともあります。印刷会社側の売上明細と照合すれば一目瞭然です。
調査官も人の子ですから隠蔽がバレれば他にも隠しているのではないかと調査の目が厳しくなります。特に隠蔽などがあると本来なら3年分で済んだはずの調査が5年分になる可能性も高いです。
通常の調査なら「次回からはこうしてくださいね」という指導で済んだところまできっちり修正しなければならなくなるかもしれません。

さて、そこまでのリスクを負ってどれだけの利益を隠し税金をごまかせるか考えてみてください。
経費計上で屁理屈はこねても事実の隠蔽はしない、これが鉄則です。

委託販売分を手取額で売上計上していた

Q.書店委託分の売上を店頭価格の1050円ではなく手数料が引かれた735円で計上していたらどうなる?

A.全ての委託販売について手取額で処理しているなら適正処理です。


手取額で計上しても売上と手数料の両建で処理しても最終的な利益は変わりません。変わるの消費税の納税義務判定です。

書店販売には「委託」と「卸(買取)」の2種類があると思います。
「委託」は場所を借りて販売を任せる=サークルの販売相手は読者
「卸」は書店に売り、書店は利益を乗せて販売する=サークルの販売相手は書店
となります。

イベント売り500円の本が書店売り630円、書店の取り分をどちらも30%とすると1冊あたり

委託の場合…売上 630円 委託手数料 189円
買取の場合…売上 441円 委託手数料 0円

となります。書店取り分30%という前提なら

・買取ではなく委託なのに口座に振り込まれた金額だけを売上に計上していた
・振込額で年間700万円以上ある

というケースだと本来の売上は1000万円を超えてしまうので消費税の納税義務が発生します。

というのが原則的な考え方なのですが、手取額で記帳することも認められています。また、消費税法の通達でも「手取額だけを計上する方法でも全部それで続けるならOK(意訳)」と規定されています(消費税法基本通達10-1-12)。

なので買取と同じように委託販売分も手取額で計上していても大丈夫です。
手取り額で計上する場合、M社分は手数料と両建でT社分は手取り額で計上という別々の処理は認められず、全部の委託販売について計上方法を統一する必要があります。

 入金金額=売上なので管理が楽
 消費税の納税義務判定で有利
 簡易課税なら消費税の納税額も少なくて済む

とメリットが多いので規模が小さければ手取額での計上をおすすめします。

デメリットは委託手数料をどれくらい払っているのか判りにくくなることです。
本格的に事業としてやっている人にとって経費の管理は利益を上げていくために重要なことですが、副業の同人作家にはあまり関係ないと思います。

2010.1.20 初出時の説明に大きな誤りがあったため改訂しました。

DL販売の売上を源泉引いた振込額で計上していた

Q.DL販売の売上を源泉徴収税額が引かれた口座への振込額で売上計上しているんだけど正しい?

A.間違ってます。源泉所得税は経費にならないので引いてはいけません。


所得税・住民税は経費になりません。
委託販売とちがいこちらは源泉所得税が引かれる前の金額を売上に計上しなければいけません。もし手取額で処理していたら経費の過大計上になります。

消費税の課税事業者になったら

通常の申告ですと納める消費税の額は人件費や減価償却費がなければだいたい利益の5%程度になります(実際の計算は原価ではなく仕入額を基準にするので必ずしも一致しません)。

消費税の申告には厳密に計算する「本則課税」の他に「簡易課税」という方法があります。
売上5000万円までは簡易課税を使えます。税引前利益率が20%を超えるようなら一般に簡易課税の方が納める消費税は少なくて済むことが多いはずです。

同人作家の場合、原稿描き・出版・小売を自分で行うので第3種事業の製造小売業に該当します。みなし仕入率は70%です。実際の経費の金額に関係なく売上の70%の課税仕入れがあったものとして納付税額を計算します。

※簡易課税の適用には原則として事前届出が必要です。

消費税の課税事業者になったら素直に弥生会計などの市販ソフトを買いましょう。期中の処理さえ間違えなければ自動的に消費税の申告書も作成できます。

inserted by FC2 system